Ship John Stories Volume: 03
The Barn to Interstate Ave. 納屋からインターステート・アベニューへ。
オレゴン州ポートランドから世界に向けて、ハンドクラフトによる質の高いレザーアイテムやキャンバス生地を使ったタフなアイテムを発信するジップジョン。”ザ・バーン”と名付けた最初のアトリエである納屋から、新たな活動の場として”インターステート・アベニュー”へと拠点を移したマイク・イライアス。ここからどんなプロダクツが生まれたのか?
Mike Elias / マイク・イライアス
全米をワーゲンバスで旅した後、多くのインスピレーションを受けたオレゴン州ポートランドに移住。独学でパターンメイキングを学び、2006年にSHIP JOHNを創業。ブランドの名称は、マイクのホームタウンであるアメリカ・ニュージャージー州に旧くからある、美しい灯台の名から取られている。
納屋のアトリエ時代は素晴らしいものでしたが、私がより多くのデザインに取り組むようになるにつれ、仕事場のスペースはどんどん狭くなっていきました。この頃は、革財布、ベルト、バッグ、さらにたくさんのカスタムワークを探求していたのです。
ギブソンウォレットはこの時期に生まれました。お札をフラットに収納でき、チェーンと一緒に使える長財布が欲しかったのですが、かさばる「クラシックバイカーウォレット」にはしたくありませんでした。キャッシュエリアを構成するフラップデザインは、お札を多く持ち歩く場合はスペースを拡張することができ、クレジットカードを多く持ち歩く場合はフラットに出来ることを意図しています。また、財布を開かなくてもアクセスできるカードスロッがあり、IDをさっと取り出したり、よく使うクレジットカードを収納しておくことができます。この財布は今でもシップジョンの定番となり、世界中で多くの人々に愛されています。
使えば使うほど薄くなる-----。ウォレット全体に馴染みが出るとポケットに挿しているのを忘れてしまうほどで、あらゆるシチュエーションを快適に過ごすことが出来る。紙幣スペースとは別に、カードポケットが3ヶ所、フリーポケットが1ヶ所備わる。
当時のデザインで現在も作られているもう1つの製品は、24ozのヘビーワックスドツイルとレザーを使用した、重厚で信頼性の高いウェイロン・バックパックです。真鍮製のくさび形のデザインをしたロックは、私がかつて所有していた古いミリタリーバッグにインスパイアされたものです。このコードロックは作るのにとても時間がかかりますが、今でも1つ1つ手作りで作っています。
ハガード・ギター・ピック・ホルダーは、ギタリストが持ち運ぶためのシンプルで手に取りやすい美しいケースは何かという私の答えでした。1枚の革を折り畳み構成したそのワンピース・デザインは、中央の縫い目もスナップボタンのフラップによって保護されています。このデザインはピアスカードケースと共通ですが、少し形が異なります。これらの古いデザインと現在のデザインとのわずかな違いや改良点に気がつく人も多いと思いますが、その多くは当時から種がまかれていました。
ワックスを含むと24ozにもなる、撥水性に優れたタフなコットンワックス生地で製作したバックパック。
ベジタンレザーを採用したショルダーストラップや、クサビ型をした真鍮製コードロック、銅リベットと、使うほどに存分にエイジングが楽しめる。
ミュージシャンとしても活動するマイク。そんな彼を象徴するアイテムがハンドメイドで作られた革製のピックケース。キーホルダーとして使え、チェーンや革紐と組み合わせればネックレストップにもなる。Ship Johnオリジナルピックがランダムで付属。
最初のウィルス・ジャケットが納屋で誕生したのは2015年のことですが、それについてはまた後ほど……。
この頃になって、デザインプロセスが拡大するにつれ、250平方フィートの納屋よりも大きなスタジオが必要だと気づきました。そこで私はあちこちに尋ねて回り、私の友人でBeam&Anchorというショップのオーナーであるロバート・ラーム氏が空きスペースを持っていることを知ったのです。旧い倉庫を見てひと目惚れした私は、さっそく引っ越しの計画を立て始めました。この建物には、今まで見たことのないような風格があったのです。旧いレンガ、むき出しの木の天井、角にあるアーチ型の窓……。それは、現在も私たちの店に存在するスタイルの一部となりました。
建物はかなり汚く傷んでいましたが、私はそのインスピレーションに惚れ込みました。コンセントはほとんどなく延長コードがそこらじゅうを走り回り、入り口のドアには2フィートの穴があってそれを塞ぐ必要がありました。けれどこのスペースを借りた何年もの間、私は多くの改良を加え、美しい個性をさらに高めていきました。この時代、私はまだ石工として働いていたしバーでも働いていたけれど、この建物は私がこのブランドのために持っていたアイデアを次のレベルに引き上げてくれたのです。
インターステート・アベニューの店舗と、そこで過ごした時間が今でも懐かしい。
Mike Elias
ブランドの規模が大きくなるにつれワークスペースの広さが必要となってくる。そんな時に友人との縁があってか、マイク・イライアスの転機ともなったインターステート・アベニューへの引っ越し。納屋から倉庫へと活動の場が広がっていった。